五線軌条

生活と芸術とか。

極夜抄(十九)

マクドナルドにて、パジャマのような格好をした御老体がコンビニのおにぎりを食べていて泣きそうになった。以前、コンビニでノーマスクの中学生集団に出会した時にも同じ気持ちになったのを覚えている。私は、恐らく彼らよりも常識的な行動をしていると思うし、真っ当な人間として振る舞っている—と思う。それなのに、自分が彼らよりも不幸に思えてならないのだ。何故私が理不尽な思いをしなければならないのか?結局世の中は愚直な人間が損をするようにできているのか?なんと虚しいことだろう。加えて怖いのは、いつか自分が彼らの側に行ってしまうのではないか?ということである。恐らく彼らには罪の意識は無い。自分が中心の世界に生きているのだろう。その世界の住人に、私も知らず知らずのうちになってしまいはしないか、という恐怖。フードコートで新聞をブツクサ言いながら読む御老体やレジで大声で理不尽なことを言う初老男性、コンサートホールで蘊蓄を垂れる中年や阪急電車で酎ハイを飲み出す壮年男性— 私が白眼視している彼らに、気付かぬうちになってしまうのかもしれないという恐怖。それを常に抱えながら、私は生きている。正直、そうなる前にこの世を去ってしまいたい。自分がまだ自分でいられるうちに。