五線軌条

生活と芸術とか。

極夜抄(十四)

ぼーっとしていたら図書館の本を延滞してしまい、二日のペナルティを食らった。最近何をしてもダメな気がする。

僅かなマイナスの積み重ねが、大きな損失を生み出している。それは夜勤の疲れだったり、夏の暑さだったり、洗濯と掃除の先延ばしだったりする。気づいた時には後戻りできない場所にいるものである。可能ならばこの汚すぎる部屋をユンボか何かで取り壊してほしいとすら思う。

狂ってしまった歯車を直すためにはなんらかの手段を講じなければならない。それは例えば一日かけて正しい生活リズムを取り戻すことだったり、少しずつでも部屋の掃除を始めることだったりするだろう。しかしそんな気力もないのである。思えばやらなければならないことのみならず、やりたいことさえできていない。以前ならばもっと積極的にCDを聴いたり、読書をしたり、作編曲をしたりしていたはずなのだ。かろうじて気晴らしに外出することはできているが、その他の趣味的行為は生活からすっかり抜け落ちてしまった。考えてみれば、僕の部屋はもはや居心地の良い場所ではないのである。物は散乱し、ラップトップの調子は悪く、採光も良くない。研究を進めるなら大学に行った方が良いし、本を読むなら喫茶店に行ったほうがいい。外出は、自室という現実を見ないことで精神的な安定を生み出す行為に他ならないのかもしれない。

ところが季節は夏となり、外出をすると気持ちの悪い汗が止まらない。家にいても地獄、外に出ても地獄。私に居場所はあるのだろうか。


それはそうと唐突に奈良に行きたくなってきた。長谷寺室生寺に行きたい。以上。