五線軌条

生活と芸術とか。

極夜抄(五)

昨日は午前休なのでゆっくりと起きても問題はなかった。ただ、だからといって気分がすぐれているわけではない。むしろ軽く頭が痛む。イブA剤を2錠流し込んで自分を誤魔化した。起きれば乱雑とした私の心と同様にごちゃごちゃな六畳間だ。本や段ボールは九龍城の如く歪なバランスで堆く積まれ、その脇には取り込んで畳はしたものの衣装ケースにしまうところまで気力が持たなかった洗濯物が重なる。台所にはリサイクルに出すタイミングを失った牛乳パックとペットボトルとトレイとが洗ったまま陳列され、風呂の手前では衣服がカゴの中で洗濯を待つ。もともと綺麗とは言い難かった僕の部屋はこの数ヶ月で更に汚くなった。時間、身体、精神のどれもが微妙に追い込まれた結果身の回りのことに気が回らなくなったのである。今までも掃除は苦手だったが、ここまで酷くはなかった。加えて、春までは高頻度で行えていた自炊さえままならなくなった。全てを深夜の労働の所為にする気はないが、色々な意味でゆとりをなくしている一因ではあるだろう。それなのに、たまに凝った料理をしたくなる。今日もまたスーパーでグヤーシュを作るための食材を買ってしまった。噫、正しい生活とは、ひいては正しさとはなんなのだろうか。再来週にはゼミ発表も迫っている。本当に私は何をしているのだろう—